「アマチュア無線」という少々古風な趣味を、今あえてゼロから始める方のためのガイドをここに書いてみたいと思います。
他ならぬアマチュア無線のみがもつ特徴は、自分自身が実験の主体者となって、「電離層に電波を反射させる通信実験」ができることです。
企業などが所有する回線やサービスに頼ることなく、個人がもつ送受信設備だけで、電離層を介して数千〜数万km先の相手と喋ったりモールスで電文を送りあったりして、「通信」(交信)を試みます。試みても、周波数の高さや季節的・時間的変化といった自然の不確定性などに左右され、交信できたり、できなかったりします。 その送受信設備は電波法を遵守しているかぎり自由度が高いので、試行錯誤が可能です。現状の設備で不満足な通信状態を改善するためにはどうすればよいか考えたり、アンテナなど設備改善を実践してみたりすることもできます。
これは安定確実に常時接続でき、苦も無くブロードバンドでデータを安定に送りあえる、スマホやネットでは味わえない趣味性です。*1
「電離層に電波を反射させる通信実験」をもっとも実感できるのが、短波(HF)帯といわれる周波数範囲(3MHz〜30MHz)での交信です。その短波に、要らんものをなるべくそぎ落とし、5万円でまずはデビューしてみようではありませんか。
「アマチュア無線を始めたい」「再開したい」と思って月間無線雑誌を開くと、無線機メーカーのカタログ状態で、数十万円の無線機が並んでいます。 正直なところ、始めようにもいきなりそっからはないと思います。敷居もコストも高すぎます。
なるべく低コストで始めて、やってみてもし面白ければ、ぜひ追加投資しアップグレードといきましょう。 とはいえ、思い立ってゼロから始めて、電波を出し初交信するまでにはザックリ「初期費用コミコミ5万円ぐらい」と「半年」を要すると考えます。免許費用も必要なので決して安くはないですが、趣味が自分に合うかどうか味見するにはそれぐらいの投資はしてみましょう。 もっと安上がりな方法はありますが、初期費用でアマチュア無線の通信の面白さを味わえるところまでたどり着けないと辛いので、初期の目標を「短波で、日本国内の局と(あわよくば外国の局とも)ストレスなく交信できる」設備の構築を考えたいと思います。